暮らし再生プロジェクト 横浜住宅供給公社のまち(団地・マンション)再生 

INTERVIEW | トップインタビュー

 これからの暮らし再生。Top Interview

 横浜市住宅供給公社は2016年12月に創立50周年を迎えました。1966年12月の誕生以来、一貫して豊かな市民生活の実現に向けて「住まい」の視点から取り組んできました。そして今、超高齢社会など現代社会が抱えるさまざまな課題に対応するため、「スマイの再生」「キズナの再生」「キボウの再生」をキーワードに「暮らし再生プロジェクト」を推進中。その背景にあるのは何か、目指すものは何なのか、浜野四郎理事長にインタビューを行いました。

横浜市住宅供給公社の歴史と果たしてきた役割

2016年12月、創立50周年を迎えた横浜市住宅供給公社。
はじめに、設立目的や事業内容についてお聞かせください。

浜野:横浜市住宅供給公社は、勤労者に良好な住宅を適切な価格で提供することを目的に、1966年12月に設立されました。以来、横浜市の住宅政策の一翼を担い、市民の居住水準の向上や住環境の整備に努めてきました。
 私たちには、他の地方住宅供給公社とは異なった大きな特長があります。
 その一つが土地を整えて住宅をつくる土地区画整理事業です。1972(昭和47)年に行われた野庭団地(港南区)、さらに森の台団地(緑区)などの事業がそれにあたります。
 そして、もう一つが再開発事業です。1987(昭和62)年から始まった京急杉田駅東口地区の再開発事業は、その後にJR新杉田駅前の再開発にもつながり、2008(平成20)年の長津田駅北口地区の再開発へと続きました。区画整理事業や再開発事業を手がけている地方住宅供給公社は全国でもあまり例がありません。

 1986(昭和61)年からは「ヨコハマ・りぶいん」がスタートします。これは、民間のオーナーさんの土地に横浜市や国の補助をもらって、優良な賃貸住宅を供給するもので、その管理を私たちが行っています。また、1993(平成5)年からは市営住宅の管理業務、入居者募集や建物管理などにも取り組んでいます。
 このように、私たちは多様な住宅政策を実践してきました。一貫しているのは、単なる分譲住宅の建設ではなく、市街地整備など地域課題の解決に取り組むという視点で、常に時代にマッチした事業にチャレンジしてきたということです。
 議論を重ね、フットワーク良く状況に対応し、ニーズに敏感になる。この体質は50年を経た今日でも“公社のDNA”として、脈々と受け継がれています。

「暮らし再生プロジェクト」とは

今、「暮らし再生プロジェクト」に取り組んでおられます。
その背景、目的は何でしょう。

浜野:設立から50年、日本、そして横浜の住宅事情は大きく変化し、それとともに私たちの役割も変化してきました。
 今、私たちが急いで取り組まなければならないことは、団地やマンションの老朽化への対応です。特に急務と考えているのは、大規模災害に備えた「減災・防災」という観点から、団地やマンションをハード面から再生していくことです。
 一方、急速な高齢化の中、地域活動は停滞しています。団地の管理組合の活動や自治会活動の担い手がいない、さらに地域とのつながりも希薄になっていく。これを解決していくことは安心で豊かな住環境を実現していく上で極めて大きな課題です。また、少子化の中での子育て世代への対策など、ソフト面から地域を再生することも求められています。
 「暮らし再生プロジェクト」は、安心して居住できる住まいをよみがえらせること、地域や街の活性化をはかり、人と人とのつながりを深めること、ずっと住みたい地域であり続けること、つまり、「スマイの再生」、「キズナの再生」、「キボウの再生」を実現することを目指しています。

 そのために、私たちが管理組合の事務局的な機能を果たすことで、団地に住む人たちの多様な活動を支援したり、自分たちの住んでいる団地の課題、例えば若い人に住んでもらうにはどうしたらいいか、などについて考えるためのお手伝いなども行っています。空き室をリフォームして学生あるいは留学生を呼び込むなど、さまざまな模索が始まっています。
 長期修繕や団地の建て替えなどのテーマを、住民の方々とともに考える試みも行っています。私たちからの提案にもとづき、住民の真剣な議論が始まります。議論が盛り上がる中で暮らす人同士のコミュニケーションも生まれ、さらに、地域とのつながりも出てきたりします。
 実際にプロジェクトも進行しており、456戸の大きな団地では、今、建て替えの推進決議まで進んでいます。実現すれば、この規模の建て替え事業は横浜市内で初めてとなります。

豊かな暮らし・地域を目指して

横浜市住宅供給公社が建設中の大プロジェクト「横浜MIDベースタワーレジデンス」(横浜市西区)にも、
「暮らし再生プロジェクト」の考え方は反映されているのですか。

浜野:新規分譲マンション「横浜MIDベースタワーレジデンス」は、“地域課題を解決するプロジェクト”という、団地再生と全く同じ発想で取り組んでいます。
 団地の再生には、地域の高齢化、若い世代に選ばれる住まいづくりなどの課題をどう解決するかが大切です。「横浜MIDベースタワーレジデンス」においても、これらの地域の課題の解決が企画の出発点になりました。
 例えば居住者の子育て支援として整備される保育所は、ここに暮らす人だけでなく地域にお住まいの方も利用できるようにしました。
 医療や介護のサービスも充実させました。また、地域に開放するスペースを設けることで単なる住居でなく、地域の交流拠点になればと考えました。
 ハード面では、免震構造をはじめ太陽光パネルの設置など温暖化対策、環境配慮型の仕様とし、災害発生時には地域の人たちの安全確保を後方支援する拠点としても貢献できる施設を目指しています。

 建物竣工後も管理組合におまかせではなく、一定の期間は地域の方々との交流が進むように、さまざまな機会を設けて橋渡しを行っていきたいと思っています。
 「暮らし再生プロジェクト」は時代に対応した新しい住まいの提案、「横浜MIDベースタワーレジデンス」がその象徴的な存在になればと願っています。

これからのビジョンと抱負をお聞かせください

 地域課題の解決を通して、若い人にとっても高齢者にとっても「住んで良かった」と言われるようなまちづくりをしていきたいと思います。
 都市の評価は、行ってみたいまち、さらに住みたいまちであることだと思います。
そのためにも住宅環境整備は重要であり、横浜にはその高いポテンシャルがあると思うのです。これからも、私たちは横浜市と協力・連携して“誰もが住みたいと思う横浜”にするために歩み続けなければならないと思います。

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